【異常事態】Masters Londonのデバイス使用率を分析したら、Wootingは使用率7割を超えたし、ARTISANが無双状態に突入したし、王政復古のG PRO Xだった件について。

2度目のVALORANT Masters、それはメーカー同士の剝き身の殴り合い。
年度初めの新製品リリースラッシュも落ち着き、選手それぞれが今年の最適解を見つける頃。
ここで結果を残せなかったメーカーは、窮地に立たされると言っても過言です。
では、先日Lleviatánの優勝にて幕を閉じたMasters Londonでは、どのメーカーが結果を残したのでしょうか?
今回は本媒体にて公開されたデバイスリストと共に、情勢を分析。
様々な角度から検証しつつ、今後を予測していこうという内容の記事になっております。
前回の分析記事はこちら👇
検証に入る前に、今大会における各デバイスの使用率TOP3を見て行きましょう。
マウス使用率 TOP3
順位 | 製品名 | 全体使用率 | Americas使用率 | CN使用率 | EMEA使用率 | Pacific使用率 |
1位 | 14/60(約23% | 3/20(15%) | 5/20(25%) | 1/20(5%) | 5/20(25%) | |
2位 | 11/60(約18%) | 3/20(15%) | 2/20(10%) | 4/20(20%) | 2/20(10%) | |
3位 | 9/60(15%) | 2/20(10%) | 2/20(10%) | 4/20(20%) | 1/20(5%) |
マウスパッド使用率 TOP3
順位 | 製品名 | 全体使用率 | Americas使用率 | CN使用率 | EMEA使用率 | Pacific使用率 |
1位 | 18/60(30%) | 4/20(20%) | 7/20(35%) | 3/20(15%) | 4/20(20%) | |
2位 | 8/60(約13%) | 0/20(0%) | 1/20(5%) | 3/20(15%) | 4/20(20%) | |
3位 | 5/60(約8%) | 2/20(10%) | 2/20(10%) | 0/20(0%) | 1/20(5%) |
キーボード使用率 TOP3
順位 | 製品名 | 全体使用率 | Americas使用率 | CN使用率 | EMEA使用率 | Pacific使用率 |
1位 | Wooting 60HE v2 | 25/60(約42%) | 7/20(35%) | 9/20(45%) | 4/20(20%) | 5/20(25%) |
2位 | 11/60(約18%) | 2/20(5%) | 3/20(15%) | 1/20(5%) | 5/20(25%) | |
3位 | 6/60(10%) | 1/20(5%) | 1/20(5%) | 2/20(10%) | 2/20(10%) |
大会共通デバイス
チェア:Secret Lab Titan Evo
モニター:OMEN 25 360Hz
モニターアーム:HyperX Armada
ヘッドセット:Plantronics SHR2638-01
もはや見慣れた光景、Wooting表彰台独占です。
出場選手60人のうち42人、約70%がWootingユーザー。
これほどまでに支配的なメーカーが、かつてあったでしょうか?
ロスター全員がWootingキーボードを使用したXi Lai Gaming。もしFULL SENSEとの対決が実現していれば、ステージ上の全員がWootingユーザーとなる事態もあり得た。
前回大会Santiagoでは、発売間もない時期であったことも含め、Wooting 60HE+がトップシェアを維持していました。
しかしLondonにおいてはWooting 60HE v2が逆転。
そしてSantiagoの60HE+のシェア率すら上回り、単独で40%を上回る議席を獲得しました。
スイッチの挙動が万歳三唱にすら見えますが、この結果は当然と言えば当然。
進化した基盤(モジュール)、8kHzポーリングレート、自社製アルミケースをラピッドトリガーの元祖が引っ提げて登場したのですから、完全な普及は時間の問題だったのです。
順当に行けばChampions Shanghaiでの単独過半数も夢ではなく、ますますの寡占市場化が予想されます。
そんな中で意外な躍進を見せたメーカーがASUS。
スポンサードしているチーム・プレイヤーの使用が目立ち、LogicoolやRazerといった競合を抑えメーカー別使用率2位につけています。
もちろん、スポンサー契約があることは大前提としても、多くのWootingユーザーを移行させられる実力・魅力は絶対にあるはず。
筆者は、その魅力の一つに選択肢の多さが寄与していると考えています。
例えば、Sayonara選手の使用するFalchion Ace HFXは65%サイズの製品。
8kHzとSOCDを搭載した、ASUS唯一のFキーレスラインナップです。
対してDerke選手らの使用するFalcataは75%サイズながら、真っ二つに分割できる唯一のキーボード。
タイピングやゲーム面の機能性を損なうことなく、更に省スペース化を図れる、無二のラインナップです。
このような、プレイヤーひとりひとりのニーズに合わせた展開を行うことで確実に拾いに行くという、大手メーカーの資本力ならではの戦略が今回の結果に繋がっているのではないでしょうか。
定番マウスの地力。G PRO Xシリーズが頂点へと帰ってきました。
メーカー合計だとLogicool製品が全体の約43%を占め、圧倒的なトップへと返り咲いています。
Nicc選手が2試合目からNP-01S V3に乗り換えたものの、初戦では全員がG PRO Xシリーズを使用していたDragon Ranger Gaming
使用率首位に躍り出たのは、史上初のラピッドトリガー搭載マウスG PRO X2 SUPERSTRIKE。
Santiagoでは約12%(7/60)だったのに対し、Londonでは倍の約23%(14/60)にまで拡大。
前回記事で「覇権を獲得する未来も遠くない」と書きましたが、こんなに早いとは聞いていません。
もう少し刻んでください。
覇権獲得に至ったのは、カスタマイズ性の高さと使用感の両立を成功させたから、という見方が大きいです。
SUPERSTRIKE以前のG PRO Xシリーズにあった、ちょっとしたネガティブポイントは、クリックが硬いこと。
Viperと比べクリックの前後に発生する「遊び」が少なく、また平らなクリック形状であるため、実際の数値以上に硬く感じてしまう問題を抱えていました。
しかしSUPERSTRIKEは、ハプティック誘導トリガーシステムを搭載したことで、硬さの調節を実現。
またラピッドトリガーの導入と、遅延の圧倒的な低下により、明らかな優位性が確立されました。
ただ、前重心という特殊な性質から、これからの使用率増加は緩やかなものになると推測されます。
なんにせよ話題の中心、今後の動向に注目です。
意外性に富んだトピックとして、フィジカルモンスターであるNeon選手・Primmie選手は依然としてViper V3 Proを使用しています。

重量なのか、はたまたMastersまでに感覚を変えたくなかったのか定かではありませんが、V4に乗り換えない相応の判断があったのでしょう。
こういったこともあり、Viper V4 Proの早すぎる首位陥落が現実となったのかもしれません。
あかん、零が世界最高のマウスパッドという事実が揺るがん。
ARTISAN 零だけで使用率30%、ARTISAN全体では(ZmjjKK選手がARTISAN使用と仮定すると)50%。
感覚の差異が最も出やすいデバイスで、ここまでの寡占状態が続くとは思ってもみませんでした。
チーム全員がARTISAN製品を使用し、優勝したLeviatán。老いも若きも、この境地にたどり着くのか。
零について大方語り尽くしているせいで、これ以上書くと繊維の織り方やステッチ加工の素晴らしさにまで言及するハメになります。
読者の皆様におかれましても、それは避けたいことと思いますので、ここからは今大会で使用率・評価を上げたデバイス、下がってしまったデバイスについて考察して行きます。
まず上がったデバイスについて。
これは使用率2位にまで浮上したPulsar Saturn Proで間違いないでしょう。
さらさらとした表面から生み出される心地よいコントロール感が、人気の秘訣。Pacificのハイセンシ勢からの支持が厚いのはさることながら、ローセンシのSayonara選手をはじめとした幅広い感度のプレイヤーから支持されています。
ARTISAN 疾風乙も、評価を上げたと言えます。
以前より一定のユーザーを抱え続けてきたこの製品ですが、その支持率はLondonでも健在。
特にChronicle選手が疾風乙へ帰還したこと、4人のユーザーのうち3人がベスト4以上へ進出したことが、評価向上のポイントです。
ZOWIE G-SR-SE/H-SR-SEは、逆に下がってしまったマウスパッドのひとつです。
Santiagoでは全体使用率2位(8/60)につけていた本製品、Londonではその半数の4人にまで減少しています。
モノ自体は良いことに間違いないのですが、ARTISANの波に吞まれてしまったこと、コントロール系マウスパッドの躍進があったことより、相対的な使用率低下が発生したのだと考えられます。
筆者はアンダーグラウンド、と言うよりもサブカルチャー寄りな人間であるため、使用率1%に満たないようなデバイスの方が気になります。
そこで本項目では、1人しか使っていないマイノリティなデバイス、個人的に気になったデバイスをピックアップしてご紹介します。
まず話題を呼んだのは、vo0kashu選手のマウスパッド。

富嶽三十六景・神奈川沖浪裏を想起させる白波模様。
ステッチの丸め込みと厚みから、VAXEE PDシリーズの新デザインであると推測されます。
ピンク色に統一されたユニフォーム・キーボードへ差し込まれる、藍や浅葱の爽やかな色合い。
ファッショナブルさも兼ね備えたこのマウスパッドの、発売情報が待たれます。
続いて、キーボード部門からはbenjyfishy選手のG PRO X TKL RAPID。

長らくWooting 60HEシリーズを愛用し、直近ではv2に移行していた彼が、テンキーレスサイズの、しかも性能が落ちるものを使用。
この他にもleaf選手・babybay選手が本キーボードを使用しているため、もしかすると、これにしかない魅力があるのかもしれません。
これも外せませんね、Sato選手のZA12-DW。


以前はZA13と予想していましたが、先日情報が公開されたZA12-DWのリリース写真とホイールの色が一致(13は黒、12はグレー)。
まさかの未リリースマウス使用にド肝を抜かれました。
ZAシリーズのトロフィー獲得は、cNed選手のChampions Berlin以来5年ぶり。
奇しくも同じサイズの12を用いての優勝です。
偶然か必然か、どちらにせよZAイズムは現代まで受け継がれているようです。
最後に、Masters Londonでお出しできる最高火力のデバイスをご紹介して締めくくりたいと思います。
王者として挑む世界大会に、共に王者となった男のマウスを引っ提げ戦う姿。
これをエモいと呼ばずして、何がエモーショナルか。
素晴らしい大会でした、ずっと続けばいいのに。
新時代と旧世代が交差する、これまで以上に群雄割拠な大会となったMasters London。
デバイスも負けず劣らず、おもしろみの強い情勢が繰り広げられました。
悲喜こもごもの経験を経て、連綿と紡がれるChampions Tourもいよいよ後半戦。
集大成へ向け加速する選手たちから、デバイスたちから、ますます目が離せません。
PepsiMan_ax
寝て起きたら、持ち方しか残っていませんでした。
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