G2 BABYBAY「私の全力を注ぎ込んだが、タンクの中にはまだ燃料が残っている。今の自分がこのゲームにおいて非常に良い状態にあると自信を持って言える。」─ 選手・コーチがThe Guard時代から続くこれまでの旅路を振り返る

2026年10月16日、Champions Shanghai 2026 Playoffs Day 6 第2試合が行われ、100 Thieves(以下、100T)がG2 Esports(以下、G2)に2-1で勝利を収めました。今回は試合後のプレスカンファレンスにて行われたG2へのインタビューの内容を翻訳してお届けします。
──valyn選手に質問です。試合終了直後、椅子に寄りかかり、しばらくじっとしていましたね。あの瞬間、どのようなことが頭をよぎっていたのでしょうか?
valyn:正直なところ、よく分かりません。その瞬間は無意識のようなものでしたが、ただすべてを噛みしめていました。ここではかなり良い戦いができました。望んでいた結果ではありませんでしたが、再びメルセデス・ベンツ・アリーナに立てたことは素晴らしかったです。競技者としてシーズンを敗北で終わる時に一瞬、時間が止まるような感覚でした。ただ周りを見渡して、最後にもう一度この光景を目に焼き付け、仲間たちの顔を見ていました。
──今日の試合において、G2と100Tを分けた差は何だったと考えていますか?
valyn:正直、かなり接戦でしたが、いくつかの重要なラウンドが相手の方に転がってしまいました。決定的に大きな差があったとは思いません。彼らは前回対戦した時とは異なるプレイをしており、良い修正を加えてきていました。私たちは「ここから流れを取り戻せる」という瞬間が何度もありましたが、落とすべきでないラウンドを落としてしまい、それが相手の有利な方にスノーボールしてしまったのだと思います。

──BABYBAY選手に質問です。このG2のロスターにとっては“ラストダンス”になるかもしれません。最後に、観客やファンの皆さんにとってどのようなチームとして記憶されたいと願っていますか?
BABYBAY:良い質問ですね。すべてのファンに私たちのチームを見ていただき、私たちがどれほど努力をしてきたチームだったかを知ってほしいです。本当に膨大な量の努力をしてきましたが、その努力は表には見えません。私たちはクレイジーな時期を経験してきました。特にMasters LondonでXLGに敗北した瞬間は決して忘れられません(笑)本当に打ちのめされました。そしてMasters LondonやEWC(Esports World Cup)でも望んでいた結果が得られませんでしたが、そこから全員が本当に全力を尽くして立ち直りました。
そうする中で家族や友人との時間など、多くのことが後回しとなり、全員が途方もない時間を捧げました。サンパウロで行われたVCT AmericasのStage 2 Playoffsでも、何が起こったのか分からないほどひどく敗北しましたが、それでも私たちは立ち直りました。このチームについて一つ言えるのは、今年1年間、私たちはただの一度も諦めなかったということです。最初から最後まで戦い続け、Championsでトップ4に入りました。それは本当に素晴らしいことです。
──trent選手とvalyn選手に質問です。The Guardを立ち上げ、4年半前に初めてオープン予選を突破した当時のことを振り返り、2022年の若き日の自分自身に送りたいアドバイスはありますか?
trent:2022年の自分自身への最大のアドバイスは、もっと積極的になり、もっとコミュニケーションを取れ、ということです。The Guard時代はほとんど喋りませんでした(笑)味方に何もさせずにただキルを奪うだけの17、18歳の子供で、一切コミュニケーションを取っていませんでした(笑)チームメイトのためにより良い存在になり、仲間たちのためにより優れたイニシエーターになってほしいですね。
valyn:正直、たくさんあります。あれ以来、選手として大きく成長しましたから。当時は経験もあまりない、どこにでもいるルーキープレイヤーのようなものでした。ですが「できる限り多くの瞬間でチームのリーダーであれ」と伝えたいです。5人の兄弟と向き合っているのだということを忘れないこと、コーチ陣や周囲に多くの人たちがいるのだから、家族のように感じられる環境を作り、周囲を気遣うことを大切にすべきだと。若かった頃の自分は、自分自身のことばかり気にかけていたように思います。ですが今の私はチームメイト全員が良好な状態にあるかを気にしています。
一方で、当時の経験から今も学んでいるのは「ゲームをプレイすることを楽しむ」ということです。成長するにつれて、「この素晴らしいチームにいるのだから、高い基準でプレイしなければならない、良いプレイをしなければならない」という期待を背負うようになり、チームとしてのノルマを達成することばかりに囚われて、なぜここにいるのか、なぜ最初に始めたのか、何のためにこれをやっているのかを忘れがちになっていました。自分自身や仲間たちにプレッシャーをかけすぎると、試合や大会に勝つことがかえって苦しくなってしまいます。今大会は久々に、毎試合勝つことや1位になることばかりに囚われず、良いVALORANTをプレイして楽しもうと思えた大会でした。そしてそれが私たちをここまで導いてくれました。
──先ほどBABYBAY選手が「ファンに知っておいてほしいこと」を語られましたが、今年1年間を振り返って、他の人々に伝えたい象徴的な瞬間やエピソードがあれば教えていただけますか?
BABYBAY:私たちは今年、クレイジーな試みに挑戦し続けました。JoshRTコーチがプレイ理論を構築し、私たちにその理論を落とし込んで実行に移すまでにどれほどの労力が必要だったかというところです。例えばハーバーとアストラを組み合わせた構成なども理論を落とし込むのに時間がかかりました。また、Kickoffの時もSantiago進出をかけたAmericasの戦いの中で、途中でカロードの構成を急遽変更し、テホが入った構成からアイソ・ウェイレイの構成を採用するなど大胆な挑戦をして結果を出しました。
私たちは常に新しいアイデンティティを作り出し続け、最終的に今年最大の大会であるChampionsに至りました。これほど多くのエージェントを使いこなし、すべてを機能させることがどれほど困難か、人々は知りえないと思います。JoshRTコーチはこの膨大な作業量のために、数え切れないほどの睡眠不足の夜を過ごして来たと思います(笑)

valyn:特定の瞬間というわけではありませんが、私たちは本当によく練習しましたし、とても楽しかったです。周囲にいるチームメイトたちと毎日会えなくなるのは本当に寂しくなります。今日のような敗戦の後でも、チームメイトたちの顔を見れば笑顔になれます。心からこれほど練習が楽しかった日々はありませんでした。集まれば常に良い雰囲気が漂っており、誰かを過度に鼓舞する必要もありませんでした。全員が自分自身を律し、最高を目指して自発的にモチベーションを維持していました。そのようなチームにいられるのは本当に素晴らしいことです。キャリアの中で当たり前だと思ってしまっていた時期もありましたが、どれほど最悪な日であっても、最後には全員が笑顔になり、良い雰囲気に戻っていました。その過程すべてが本当に楽しかったです。
──BABYBAY選手に質問です。過去には「もう年齢的に厳しすぎるのではないか」と言われることもありましたが、今あなたはChampionsでトップ4に入りました。この物語はあなたにとって何を意味していますか?
BABYBAY:本当にクレイジーですよね。私にとってすべてを意味します。もしJoshRTコーチが私を獲得すると決断してくれなければ、私が再び競技シーンに戻ってくる道はありませんでした。競技シーンに復帰するのは極めて困難で、チャンスを得るまでに長い時間がかかりました。だからこそ、JoshRTコーチを誇らしく思わせたかったですし、私と一緒にプレイするというリスクを取ってくれたチームメイトたちを誇らしく思わせたかったです。クレイジーな旅路でしたが、私たちは共に多くのことを成し遂げました。今チーム全員を見渡すと、彼らの中に少し自分自身の姿が投影されているように感じますし、彼らは素晴らしいキャリアを歩んでいるので、それが必ず将来の助けになると確信しています。みんな本当に若いですからね。jawgemo選手はそうじゃないかもしれないけど(笑)何事にも理由があって起こるのだと思いますし、これからはそれぞれの道へ進み、優勝を勝ち取るチャンスがさらに広がると信じています。
──JoshRTコーチに質問です。上海での今大会で最も印象に残っていることは何ですか?
JoshRT:ファンが本当に素晴らしかったです。私たちの競技を大切に思ってくれるこれほど多くの人々から、これほどの感謝や熱意を感じたことはありませんでした。私たちはこれを継続するために多くの犠牲を払っています。すべての国際大会に出場している数少ないチームの一つですから、多くの移動があり、愛する人たちと離れる時間も多いです。満員のスタジアムが私たちを観戦し、BABYBAY選手が両手を挙げた時に客席全体が彼の名前を叫ぶ光景を見た時、「自分たちはこれを成し遂げたんだ」と胸が熱くなりました。上海は私の心の中で特別な場所であり続けます。このチームにとって初めての国際大会の舞台であり、最後の国際大会の舞台、ラストダンスでした。優勝には届きませんでしたが、この旅路を心から称えたいです。常に接戦を戦い、誰もが応援してくれました。これ以上ない最高のメンバーと共に戦えたと思っています。
──チームの各選手について、JoshRTコーチの指導のもとで磨かれ、今後も活かせる「最大の強みや特徴」を一言ずつ教えていただけますか?
JoshRT:左から順に話します。trent選手は自身のプレイに対する自信を深めました。彼は世界最高峰のプレイヤーの一人であり、人々は近いうちにその理由を改めて知ることになるはずです。彼には計り知れないほどのポテンシャルがあり、すでにその片鱗は見えていると思います。試合ごとに自信を深めていく選手、それがtrent選手です。
jawgemo選手は、今でも最大のXファクター(予測しにくい不確定な要因)となる選手の一人です。ゲームに対する素晴らしい感覚を持っており、ゲームを愛しているからこそそれを発揮し続けられます。私が「配信はほどほどにしたら?君が寝る時間を確保できるようにしたいんだ」と促すほどゲームに打ち込んでいます。でも彼は「4~5時間睡眠でも大丈夫だよ」と言ってくるので私は「わかったよ...」となります。
leaf選手は最もスマートな選手の一人です。試合の流れに入り込むと相手の行動を正確に分析し始め、そうした課題を解決することを楽しんでいます。チームを笑わせ、雰囲気を明るく保ってくれる前向きな姿勢は、これからも彼を大いに助けるはずです。
BABYBAY選手は社交的すぎます。彼をG2に連れてきたのには理由があるんです。彼にはそういう明るいエネルギーを持っており、彼は本当に素晴らしい仕事をしてくれました。長期間の厳しい練習の中でも、これがどれほど楽しいことかを思い出させてくれます。練習だけでなく日々の生活でも場を盛り上げてくれました。それがBABYBAY選手です。
そしてIGLであり、4年間キャプテンでありつづけたvalyn選手は、リーダーシップの面で驚異的な成長を遂げました。私は彼にいつも色々要求してきましたが、人生のあらゆる面で大きくステップアップしています。ベテランとしてチームを牽引し、選手たちを育成していく次の役割にも見事に適応していくはずです。
選手たちには最初から「君たちは長いキャリアを歩むだろう。私が歩けるようにする。私は君たちにスキルや姿勢だけを教えるつもりはない。eスポーツが出来る時間は短く、時間には限りがある。だから良い人生経験を持ち帰ってくれるようにしたいと思っている。」と伝えてきました。そしてそれが実現できていれば嬉しいです。
──ゲーム内外を問わず、今年最も辛かった瞬間と、最も嬉しかった瞬間は何でしたか?また、この旅路はあなたにとってどのような意味を持ちましたか?
jawgemo:私から話します。今大会に来る直前に飼い猫が亡くなってしまったんです。だから辛い時期でした。彼女は私が初めて飼った猫で、2023年のChampionsの時もホテルに一緒に連れていき、毎晩抱きしめ、練習に行き、試合で勝ってグランドファイナルを制覇した、私にとって家族のような猫でした。2023年の当時を再現し、もう一度彼女を偲ぶためにできることは何でもしようと思い、彼女のために髪をピンクに染めました。もっと戦えたら良かったんですけど、仕方がありません。Championsの戦いを通じて彼女を天国へ見送ることができたように感じています。最後まで自分のやるべきことをやり遂げ、彼女を送り出すことができました。

──valyn選手に質問です。このロスターにとってはラストダンスになるかもしれませんが、皆さんにはまだまだ先があります。2027年に向けて新たな体制や競技環境が訪れる中で、一人の選手として自身の未来についてどう感じていますか?
valyn:正直、最初にその話を聞いた時は少し恐怖を感じました。trent選手やJoshRTコーチと非常に長い間一緒に戦ってきたからです。そしてIGLとして、自分を優れたリーダーにしてくれた周囲の存在に感謝しなければなりません。JoshRTコーチのような指導者、そしていつでも私を助け、ディフェンダー側でも多くコールを出して隙間を埋めてくれたtrent選手が常に隣にいてくれたからです。しかし、それを受け止めた今では、変化は時に恐ろしいものですが、新しい挑戦に挑む準備ができています。これまでの経験を活かし、チームメイトのためにより大きな責任を背負い、ゼロから何か素晴らしいものを再び築き上げたいと思っています。
新しいことを始めるとき、私自身を含め無名のチームメイトばかりだったThe Guardにいた頃を思い出させてくれます。新しい組織で取り組むことは新鮮で、私にとって良いことだと思いますが、チームメイトと一緒にいられなくなるのは間違いなく寂しいです。JoshRTコーチは毎日、私が上達するためには何をすればいいか教えてくれましたし、trent選手もいつも共に過ごしてきました。なんだか心機一転した感じがしますが、私ももうすぐ24歳になり、多くの経験を積んできましたし、その準備はできています。とはいえ、彼らがいなくなるのは本当に寂しくなります。
──加入した当初の自分を振り返ってみて、今回の経験は予想と比べてどうでしたか?また、今後の自身の将来について教えていただけますか?
BABYBAY:当初、私は現役選手に追いつかないといけないと分かっていました。最大の課題は基礎を固めること、つまり自分が取り組んでこなかったチームとしての動きを身につけることでした。キャスターをしていた時に膨大な映像を見ていたのでゲームへの理解度は非常に高い自負がありましたが、試合内でそれをリアルタイムに適用するとなると話は別でした。JoshRTコーチが助けてくれ、valyn選手、trent選手、leaf選手、このチームの誰もが私を助けてくれました。全員が私をチームのスピードに追いつかせるために本当に懸命に取り組んでくれましたし、それが今大会でも表れていたと感じています。全員のために自分自身の持てるすべてを尽くしましたし、彼らを失望させたくないとずっと思っていました。そうならなかったことを願っています(笑)
大変な挑戦であり、膨大な労力が必要になることは最初から分かっていましたが、挑戦への準備はできていました。私はいつでも挑戦する準備が出来ています。私の全力を注ぎ込みましたが、タンクの中にはまだ燃料が残っています。今の自分がこのゲームにおいて非常に良い状態にあると自信を持って言えます。

今回勝利した100TはLower Finalへと駒を進め、10月17日16時より、Team VitalityとGrand Final進出をかけて対戦します。
そして敗北したG2はここで2026年シーズンの旅が終わり、最終順位は4位となりました。
ふぉかっちゃ
好きな選手はSugarZ3ro、今の推しチームはNS