SCARZ gray「自分が視聴者だったら、間違いなく自分のことを嫌いになっていると思う。それでも自分のことを応援してくれている人たちを、本当に大切にしたいと思うし、絶対に恩返しする」―期待を背負う17歳、grayとは何者なのか?Split 2での抜擢、公開トライアウトを経て、次なる挑戦へ

2026年10月25日、東京・渋谷のSCARZオフィスにてVALORANT部門のファンミーティングが開催されました。VALORANT部門の再始動を追うドキュメンタリーシリーズ「THE ART OF WAR」で発表された、新体制のSCARZがファンの前に登場。トークショーや対決イベントなどが行われました。
今回はファンミーティング終了後、gray選手にインタビュー。今年のChallengers Japan Split 2で、当時16歳ながら(現在17歳)SCARZのロスターに抜擢された経緯や、Artコーチとの衝突が描かれたドキュメンタリーの本音、そして来シーズンに向けた意気込みなどを聞きました。

――初めてのファンミーティングを終えて、どうでしたか?
gray:最初はめっちゃ緊張したんですけど、自分のファンの方がいてくれて、すごく嬉しかったです。
――まずは、gray選手のバックグラウンドから聞いていきたいと思います。VALORANTはいつ、どんなきっかけで始めたのでしょうか?
gray:VALORANTを始めたのは、中学1年生の冬ですね。もともとはFortniteとかをやっていたんですけど、友達からVALORANTが面白いと勧められて、やってみたらハマりました。
その時は、学校から帰ってきたら、全部VALORANTみたいな感じで。その後、中2になる時にクラス替えがあったんですけど、新しいクラスが自分に合わなくて、そこからもっとVALORANTにのめり込みました。
――14歳でレディアントに到達したポストを見ました。到達までに停滞したランクはありましたか?
gray:レディアントに行くまでは結構かかったんですけど、イモータルまでは2ヶ月くらいで行ったと思います。イモータルからレディアントに行くまでのところで、しばらく停滞していました。
――レディアントまで上げるために意識したことは何でしたか?
gray:自分はそれまでずっとソロでやっていたんですけど、デュオ相手を見つけて。そしたら勝てるようになりましたね。VALORANTは、結構デュオが大事だと思います。
――その他にも、ランク上げの秘訣があれば教えてください。
gray:使わなくてもいいけど、VCは使ったほうが勝率が上がると思います。あとは、デュエリストを使うことかな。自分はずっとデュエリストを使っていました。

――プロを意識したのは、どのタイミングでしたか?
gray:もともと友達と遊びでPremierに出たりは結構していたんですけど、選手はあまりやるつもりがなくて。でも、声を掛けてくれたチームがあって、そこでスクリムをするようになってから意識するようになりました。
――ファンミーティングで少し学校の話題が出ましたが、今は通信制の高校に通っているんですか?
gray:そうです。高校に上がる時にも、自分の中でどうしようかすごく葛藤していました。全日制の高校に行って、普通の高校生活を送りたい気持ちもあるし、でもプロとして活動して、オフライン大会とかに出てみたいという気持ちもあって。なので、全日制の高校に入ったんですけど、やっぱりプロをやりたいなと思って学校を変えました。
――大きな決断だったと思いますが、親御さんと相談した時はどうでしたか?
gray:親とは結構話したんですけど、背中を押してくれました。

――今年4月、Split 2に向けてSCARZに加入しました。当時は経験豊富な選手が多い中、抜擢された若手という立場だったと思いますが、加入の経緯を教えてください。
gray:直接オファーを送ってくれたのは、Norisenだったんですけど、自分のことを推薦してくれていたのは、いばにん(Art)でした。去年の10月くらいに、突然いばにんからフォローされたんですよ。
自分はその時まったく無名だったし、こっちからフォローしたわけでもないのに、なんでだろうと思って。後から聞いたら、ランクで会っていたみたいで、その時から目をつけてくれていたらしいです。それで、機会があったから声が掛かった、という感じでした。
――Split 2は、残念ながらAdvance Stageで敗退という結果でしたが、振り返っていかがでしょうか。
gray:自分のパフォーマンスは全然ダメだったんですけど、でもその中で何をするかが、すごく大事だったなと思います。その時は、すごく頑張ってランクをやっていたんですけど、逆に言えばランクしかしていなくて。
本当はもっとスクリムを見返したり、チームメイトと話したりすべきだったんですけど、そういう部分が足りず、結局エイム頼りになっていたなと思います。
――初めての本格的なチーム活動というところで、難しさがあったと。
gray:何もわかってなかったです。だから今、戻ってもう1回できたらいいのにと思いますね。あの時のSCARZのメンバー、めっちゃ好きなので。
――チームとしてもSplit間でメンバーが変わり、準備期間の短さもあったでしょうか?
gray:それもあったけど、スクリムが上手くいっていなかった時期に、チームでちゃんと話し合いができてなかったんです。でも、その状況で自分がどうすればいいかわからなかったし、ベテランのメンバーが多くてビビってた部分もありましたね。

――その後、「THE ART OF WAR」の公開トライアウトがあったわけですが、最初に話を聞いた時にどう思いましたか?
gray:正直、抜けるか迷いました。前のSCARZがすごく好きで、もっとメデュ(Medusa)とかと一緒にやりたいと思ってたのに、メンバーがガラッと変わると言われて。しかも、競技経験が少ない若い選手を集めて、1~2年かけて成長して最終的に勝つ、みたいなイメージを聞いて、自分の考えとは合わないと思いました。
――どういう部分で合わないと思ったんでしょうか?
gray:最初から本気で勝ちに行くべきだと思って。話を聞いたのがAdvance Stageが終わった直後で、気持ちが入り過ぎていたこともあって、1~2年かけて最終的に勝つという考え方に納得いきませんでした。
――なるほど。それでも、公開トライアウトに参加すると決めた理由は?
gray:前のSCARZのメンバーに比べて、自分のスキルがまだまだ足りていないと思ったことと、あとは、いばにんがいたからですね。
――ドキュメンタリーとして映像が公開されて、どう思いましたか?
gray:あの4日間は、いろんなことが重なりすぎて、めっちゃふてくされてたんです。それは自分でもわかってて、だから動画が上がったら叩かれるだろうなとは思ってました。予想していたとはいえ、最初は本当に無理だなって思いましたね。もう他のチームには取ってもらえないだろうなって。
――gray選手への期待の大きさも感じる内容ではあったと思いますが、そのあたりはどう感じましたか?
gray:ちょっとそこまで頭が回らなかったですね。ショックすぎて「俺、終わったわ」ってずっと思ってました。
――映像になって、実際より偏った印象になっていたと感じる部分もありましたか?
gray:うーん……。事実は事実なんですけど、ちょっと誇張されているなと思うところはありました。自分が宿題をやってこなかったみたいなくだりは、見た瞬間「マジか」ってなりました(笑)。
――本人目線では、どういう状況だったのか気になります。
gray:宿題とは言われていなかったんですよ。トライアウトでやるコンセプトとして、「これを見たら一連の流れがわかるよ」的なことが書いてあったんです。それだけで、動画を必ず見てきてとは言われてないのに、自分だけが見なかったみたいになってて……。
――認識の齟齬があったんですね。ファンミーティングでの仲の良いやり取りを見ても、ドキュメンタリーの空気感とはギャップがありました。
gray:もともといばにんが選手だった時、一度もケンカしたことはなかったし、本当に尊敬する人という感じで。撮影から公開まで結構時間が経っていて、状況が変わっているというのもあります。
――Artさんもコーチとしての振る舞いを試行錯誤していた部分がありそうですね。
gray:それは自分も相談されていました。コーチとしていろいろ任されて、どうすればいいかって。

――ドキュメンタリーでは、不慣れなロールを任されたgray選手に対して、Artさんからのコメントはなかなか厳しめでしたよね。
gray:あれはひどいです(笑)。スモーク始めて1日目ですよ。
――どういう経緯から、コントローラーにロール変更することになったんですか?
gray:やったことなかったんですけど、REJECTのBRIANとかから勧められたんです。日本人選手で上手いスモークというと、SugarZ3ro選手とかKippei選手の名前が挙がるけど、数が少ない。これから貴重な存在になるし、すごく向いていると思うって言われたんです。
ずっとデュエリストをやってきたけど、デュエリストを使っている時のコールにあまり自信がなくて。だから、そのまま使い続けて、良い選手になれるのかわからなかったし、自分でもスモークがちょっと気になっていたんです。いばにんからも「絶対向いてると思うよ」と言われたので、この機会にやってみようと思いました。
――トライアウト期間を経て、自分自身で成長したと感じた部分はありましたか?
gray:プレイ面で言うと、ゲーム中に「何々しよう」とか、そういう自分の思っていることがかなり言えるようになったと思いますね。前はそもそも考えられていなかったり、思っても全然言えてなかったりしたんですけど、最近は結構言えるようになりました。

――現体制のSCARZメンバーは、ゲーミングハウスで生活しているそうですね。
gray:ゲハ生活は始まったばかりなんですけど、今のところめっちゃ楽しいです。
――ファンミーティングでも、すごく和気あいあいとした雰囲気が伝わってきました。
gray:そうですね。もう3つケガつくりました(笑)。
――だいぶ賑やかそうですね(笑)。スクリムの手応えはどうですか?
gray:成長は確実にしているんですけど、まだ絶対的な自信はないですね。日ごとにみんなパフォーマンスに波があるので、そのあたりが課題だと思っています。あとは、マクロの理解力。thiefyとかYamadaは結構できてるけど、それでもベテランの選手たちに比べたら、まだ足りないと思うので。
――目指したい選手像や参考にしているプレイヤーがいれば教えてください。
gray:Gen.GのKaron選手とか。撃ち合い系スモークみたいな感じで、スモークを使いながらしっかり撃ち合えるプレイヤーなので、そういうところを見習って真似たりしています。
――それでは最後に、来シーズンへの意気込みと、ドキュメンタリーを見て興味を持った人やファンに向けてのメッセージをお願いします。
gray:前回は、「負けたらヤバい」というプレッシャーが強かったし、「これ合ってるかな」と迷う場面も多かったです。でも、今はあまりそういうプレッシャーがなくて、自分個人としてやるべきことの自信もついてきました。なので、今大会は前回よりも良いところを見せたいです。
もし自分が視聴者としてあのドキュメンタリーを見ていたら、間違いなく自分のこと嫌いになっていると思うので(笑)。だから、それでも自分のことを応援してくれている人たちを、本当に大切にしたいと思うし、絶対に恩返しします。

綾本ゆかり
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