サミット、実装から一ヶ月半で全マップ中「最多BAN」へ——新要素多数のこのマップに、各チームはどのような答えを出したのか

Masters London最終日のショーマッチで公開され、6月24日開始のSeason 2026 // Act 4で実装された新マップ「サミット」は、VCT 2026 Stage 2のグループステージにおいて4リージョン合計126試合中85試合でBANされ、そのBAN率67.5%となりました。この数値は現行の7マップ中で最多となっており、構成の回答もリージョンごとに大きく分かれているのが現状です。
本記事では、グループステージで実際に使用された構成のデータをもとに、サミットの現在、そして今後のメタを筆者の視点から考察していきます。
サミットは、多数の遮蔽物と曲がり角、ラウンド中に遮断できる新しいタイプのドアなど、従来のマップにはない要素を多く持っています。
そのサミットに対して、プロシーンが最初に出した回答は「BAN」でした。グループステージを通したBAN率では67.5%で1位になっており、2位のロータスと大きな差をつけている一方、マップがプレイされた回数は36回で、ロータスの37回とほぼ並んでいます。プレイ数の最多はサンセットの56回でした。

BANが集中する理由の一端は、攻守バランスの数字に表れています。以下は各リージョンごとの攻撃側、防衛側でのラウンド勝率をまとめた表です。

現時点で、ほとんどの地域でサミットはディフェンス寄りのマップであるという結果になりました。
唯一EMEAだけが53.2%と攻撃側が上回っており、6マップという少ない母数ながら他リージョンと逆の傾向を示しました。攻め手が固まっていない段階のマップで防衛側が有利になるのは自然な現象ではありますが、リージョン間で攻略の進度に差が生じている可能性はあります。
構成面でも顕著な違いが見られました。全72構成のエージェント採用率は以下の通りとなりました。

ソーヴァのピック率は22.2%と落ち込み、Chinaリージョンでは1構成のみという極端な結果となりました。遮蔽物や角、プレイヤーが隠れられるスポットが多数存在するサミットの構造上、リコンボルトを起点としたセットプレーが成立しにくく、細かいクリアリングを何度も求められることが背景にあると考えられます。
リージョンごとに採用率上位のエージェントを見比べると、それぞれの志向の違いがはっきりと見えてきます。

EMEAのヴァイパー67%は他リージョンを大きく引き離しており、カーテンを駆使してチョークポイントや射線の多さに対応する思想がうかがえます。対照的に、Chinaリージョンはオーメン85%とほとんど固定枠になっており、可変的なマップに対して既存の型を持ち込む方針を取りました。ソーヴァを残したのはAmericasとEMEAで、PacificとChinaはほぼ切り捨てています。
ロール構成では、ダブルコントローラー構成が30/72構成(42%)で最多となりました。ただし、勝率は47%で、シングルコントローラー構成の52%をわずかに下回っています。採用の多さが成果に直結していない点は、現時点でメタが最適解に到達していないことをうかがわせます。
ここからは、各リージョンから1つずつチームを挙げ、使用した構成と勝敗について簡単に紹介します。
Paper Rexはサミットを全勝しています。DetonatioN FocusMeとKIWOOM DRX戦ではオーメン・ヴァイパー・フェイド・セージ・レイズという堅めの構成を採用した一方、Team Secret戦ではヴァイパー・ハーバー・テホ・ゲッコー・ウェイレイというセンチネル不在、ダブルコントローラーの構成でプレイし、同一マップで性格が全く異なる2つの構成を運用した点は、PRXらしい柔軟性の現れです。
AmericasのNRGは、ソーヴァ・ネオン・サイファー・KAY/O・ブリムストーンという構成をプレイした3試合すべてで使用し、全勝を記録しました。ソーヴァを切り捨てなかった数少ない例であり、サミットにおいてはマイナーなエージェントを多数採用したこの構成は現時点で最も明確な「型」と言えます。
EMEAでサミットを勝ち越したのはTLのみです。FNATIC戦、Karmine Corp戦を連勝し、いずれもオーメン・ヴァイパー・ソーヴァ・ジェット・フェニックスという構成を採用しました。EMEAだけが攻撃側勝率53.2%と他リージョンと逆の数字を出した背景には、この種の攻撃的な解答が含まれていると考えられます。
Xi Lai Gamingは、オーメン・ハーバー・チェンバー・フェイド・ウェイレイという構成を4マップすべてで固定し、3勝1敗としました。同じく構成を固定して3勝1敗のBilibili Gamingとの直接対決も13-8で制しており、Chinaリージョンにおけるサミットの基準となりつつあります。
グループステージのデータから読み取れる方向性は、大きく3点あります。
第一に、防衛側優位の構造が続く限り、サミットは「BANされるマップ」であり続ける可能性が高いと考えられます。攻撃側46.3%という数字が改善に向かうかどうかが、プール内での立ち位置を左右します。
第二に、イニシエーター枠はフェイド中心の状態が当面続くと思われます。例外はありつつも、マップの構造上ソーヴァのスキルでクリアリングできるエリアには限界があり、短期間での解決は見込みにくいところです。一方で、テホやスカイは現時点で採用率1割台にとどまっていますが、各チームのプレイスタイルが確立された場合に採用される余地が残されています。
第三に、コントローラー枠がさらに流動的になる可能性があります。他のマップでも標準的になりつつあるダブルコントローラーが最多採用でありながら勝率で伸び悩む現状は、リージョンごとの解答がまだ収束していないことを示しています。
数値上はオーメンが最多となっていますが、アストラやブリムストーンなどのタイプの違うコントローラーが採用される例もあり、多くのチームが最適解を探している最中であると言えます。
リリースされて日が浅く、いまだ「最適解」が示されないサミットですが、各リージョンが出した解答には、すでにそれぞれの志向が現れています。各チームはこれからプレイイン、プレイオフへと進み、その先には上海でのChampions 2026が控えています。 国際大会で最初のメタとなるのはどの型なのか、Champions 2026ではその点にも注目したいところです。
黒瀬
猫となかよく