Masters Londonでは常連組、初参戦に加えてブランクを乗り越えた4チームにも注目!—LEV・VIT・FUT・EDG、それぞれの空白期間を読み解く

VCT 2026 Stage 1がすべての地域で幕を閉じ、6月6日に英国・ロンドンで開幕するMasters London 2026の出場12チームが確定しました。VALORANTにとって英国初の国際大会となるこの舞台には、各地域のリーグを戦い抜いた上位3チームが集います。
各地域のStage 1を制したG2 Esports(G2)、EDward Gaming(EDG)、Paper Rex(PRX)、Team Heretics(TH)の4チームはプレイオフへ直行し、残る8チームが6月6日から10日にかけてスイスステージを戦います。
顔ぶれを眺めると、NRGやPRXのように国際舞台の常連が順当に名を連ねる一方で、しばらく姿を見なかった、もしくは伸び悩んでいたチームが複数、戻ってきていることに気づきます。本稿では、彼らの「空白期間」について焦点を当てていきます。
Leviatán(LEV)、Team Vitality(VIT) 、FUT Esports(FUT) といったチームは、最後にMasters / Championsに出場してから1年以上のブランクを持つ、国際大会の舞台から文字通り遠ざかっていたチームです。
LEVが最後に国際大会に出場したのは、さかのぼってVALORANT Champions 2024。約1年半にわたり、国際大会の舞台から完全に姿を消していたことになります。その間にロースターは大規模に刷新され、ベテランの経験と若い才能を組み合わせた新たな編成で今季のVCT Americas Stage 1に臨みました。南米勢の躍進が目立ったStage 1で、LEVはアッパーブラケットでMIBR、FURIA、そしてG2を退けてグランドファイナルへ進出。決勝で再戦したG2にリベンジを許す形にはなったものの、堂々の準優勝でロンドン行きを確定させました。

LEVを待ち受けるのは、Global Esportsとの史上初の対戦です。長い沈黙を破って戻ってきた最初の相手が、これまで一度も拳を交えたことのない新興勢力だという事実がこの帰還に独特の緊張感を与えており、コミュニティでも多くの議論が交わされる注目度の高いマッチアップとなっています。

VITはMasters Bangkokでは4位という結果を残したものの、その後のEMEA Stage 1、Esports World Cup、Stage 2を通じて中下位にとどまっており、シーズン中には幾度かロースター再編を試みたものの、いずれも噛み合いませんでした。
この停滞を断ち切るべく、VITはオフシーズンにスーパーチーム構築へ踏み切ります。
かつてDerkeとFnaticで共に戦ったChronicleを合流させ、BBL Esportsで台頭したJamppiとPROFEKを招き入れました。
「スーパーチーム構想」を掲げる多くのチームが、事前の期待に反して成績が低迷するケースは珍しくありませんが、VITはスター選手一人を中心とするのではなく、チーム全体での調和を目指した結果、強豪ひしめくEMEAでの競争力を獲得しました。

2026 EMEA Stage 1では、Team Liquid、Fnaticといった優勝候補を次々と撃破。無敗のままグランドファイナルへと進出、Team Hereticsとのフルマップを争う激闘の末、2位通過となりました。
そのVITの帰還初戦の相手が、中国のDragon Ranger Gaming(DRG)。これもまた史上初の顔合わせとなっています。互いに手の内を知らない状態で臨む最初の一戦が、VITにとっては試金石となります。

EMEA 3位通過のFUT Esportsの空白は、最も複雑です。組織として直近の公式国際大会はVALORANT Champions 2024。約1年9ヶ月ぶりの復帰となりますが、その実態は「初出場」に近いものです。
というのも、FUTの今季のメンバーのうち、4人がこの大会で国際大会デビューを迎えます。FUTは2026年のKickoffで最下位に沈んだ後、s0ppとsociablEEを獲得してStage 1に臨み、グループ首位通過を果たし、Eternal Fireを破って出場権を掴みました。

FUT Esportsの対戦相手はFULL SENSE(FS)。こちらもVCT史上初となるマッチアップとなります。FUTもFSのどちらも、撃ち合いの強さを活かした火力重視のチームです。世界を震撼させるトルコエイム vs Primmie率いるPacific屈指のフィジカル軍団。軍配が上がるのはどちらのチームでしょうか。

EDGの空白は、他3チームとは雰囲気が少し異なります。EDGは国際大会に「出られなかった」のではなく、出続けたにもかかわらず、結果が伴わなかったのです。
2024年のVALORANT Champions王者という肩書を持つ中国の強豪です。しかし、その栄冠以降の歩みは決して平坦ではありませんでした。半年後のMasters Bangkokでは3位という結果を残すも、それ以降は世界の頂点争いから距離が開いていきます。直近の国際大会となったMasters Santiagoではスイスステージを2連敗で敗退と振るわず、ロンドンは明確な雪辱を果たす舞台となります。
近年中国リージョンを席巻していたXLGを破り、中国第1シードとして乗り込むEDGは、プレイオフ直行のシード席で初戦を待ちます。

2024 ChampionsでEDGの前に立ちはだかったのが、ほかでもないTHでした。
両者が対戦したグランドファイナルは、最終マップまでもつれる3-2の激闘。 EDGはこれを制して中国地域初の国際LAN王者となり、ZmjjKKは通算111キルという当時のBo5最多キル記録を樹立、MVPに選出されました。両者は同年のMasters Shanghaiでも上位ブラケットで顔を合わせており、2024年のシーンを象徴するライバル軸を形成していました。
両者は共に第1シードとしてプレイオフ進出を確定させており、組み合わせ次第では2024年Championsグランドファイナルの再演という、見逃せないマッチアップが実現する可能性も秘めています。

もっとも、ロンドンの見どころは帰還組だけにとどまりません。VALORANTの黎明期から競技シーンを追ってきた層にとっては、本稿で扱った帰還組の物語そのものが、各チームの軌跡を再確認する機会となります。
一方で、近年シーンに触れ始めたファンには、初の国際LAN出場となるGlobal EsportsとFULL SENSEという新進気鋭の組織が、世界の舞台でどこまで通用するのかを目撃する場が用意されています。
さらに、国際大会の常連であるNRG、PRX、G2の戦いぶりを期待する層にも、各地域の最前線を担う面々が応える布陣が揃いました。復帰、新規参入、常連――それぞれ異なる興味を持つ観客が、同じ会場で同じ大会を、それぞれの理由で楽しめる。これほど多層的な期待を一身に背負う国際大会は、近年のVCTを振り返っても稀です。
Championsを見据えた大舞台、Masters Londonは2026年6月6日の23時、XLG対NRGの一戦で幕を開けます。
黒瀬
猫となかよく