ブリーチ・ネオン・チェンバーが強さの秘訣 ─ Velocity Gamingの構成の秘密に迫る

VCT 2025 Ascension Pacific開幕以来、「優勝候補」と称された数々の強豪チームをなぎ倒し、プレイオフへの進出を決めたVelocity Gaming。
彼らの最大の特徴は、その独特なエージェント構成にあります。ほとんどのマップでブリーチ、ネオンを採用し、さらに一部のマップではチェンバーを組み込む、非常に攻撃的な構成。しかし、個々のエージェントの能力に頼るのではなく、チームワークを活かした緻密な連携こそが、彼らの真髄です。この記事では、Velocity Gamingが特徴的な構成を採用した理由、豊富なアビリティの活用方法などについて、考察していきます。
まず、「Velocity Gaming」というチームについて、簡単におさらいしましょう。主なメンバーは以下の通り。括弧内にVelocity Gamingでのロールも記載しています。
・damaraa (デュエリスト)
・Lightningfast (コントローラー ※バインドでのみレイズ)
・Madelyn (フレックス)
・Russ (イニシエーター、IGL)
・SkRossi (センチネル)
Tier1で活躍していた選手を多数擁する実力派チームです。
バインドを除き、マップごとの選手間でのロール変更はなく、フレックスのMadelynを除く4人のメンバーは、今大会を通してほとんどのマップを同じロールでプレイし続けています。
Velocity Gamingは、南アジア地域のChallengersを1位で通過し、アセンションに進出しています。

ここからは、Velocity Gamingの戦略について触れていきます。まず、彼らのプレイスタイルで最も特徴的なのは、ほとんどのマップで「ブリーチ+ネオン」の構成を採用していることです。特にアセントではメタから大きく外れた構成ながらも、高い勝率を誇っています。

ブリーチといえば、連携の取りやすさや広範囲に影響を与えられるスキルが評価されていました。しかし昨今は、プレイヤー全体のスキルレベルが向上したことや、ブリーチ本人のスキルの弱体化などを理由に、ピック率が著しく低下しています。
ネオンは他のエージェントには出せないスピードでエリアの確保からタンク、相手の妨害までを高水準でこなせる強力なエージェントです。
Velocity Gamingが目をつけたのは、二人のスキルを組み合わせて可能になる、素早いエリア取りと、取ったエリアを固く保持する能力でした。
ブリーチのアビリティでエリアをこじ開け、 その直後にネオンが侵入します。
ブリーチのスタンは、ネオン一人ではクリアしきれない隙をカバーし、後続が追随する時間を作ります。
加えて、ブリーチのスキルは相手のアクションに対する強力なカウンターとして機能します。相手の進行を妨げることができ、取得したエリアを保持することにも長けています。
ブリーチとネオンの組み合わせは、「相手のやりたいことを妨害しつつ、自分のやりたいことを押し通す」攻守一体の構成です。
ここで、その強さが表れているラウンドを一つ見てみましょう。Nongshim RedForce戦の第一マップ、ロータスでの、Velocity Gamingによる攻撃です。

お互いがAサイトの取得を狙い、セットプレイの準備をしています。

開幕ウルトを起動し、一気に突っ込んだdamaraaがBリンク前まで詰めます。

damaraaがエリアをこじ開けた隙に、後続の4人が一斉に撃ち合います。
時間を稼ぐ動きをしていたDambiをアフターショックであぶり出し、複数の射線を作ります。
Velocity Gamingは、アビリティでエリアを制圧しながら、全員のガンファイトでエリアを押し上げるという特徴を持ちます。これは、ネオンとブリーチだけでなく、チーム全員のタイミングを一致させることで初めて成り立つ戦術でもあります。
半ば強引にも見えるVelocity Gamingの攻めですが、彼らの攻撃性は高い連携力によって支えられています。
さて、Velocity Gamingにはもう一つの特徴があります。「チェンバーの採用」です。
確かに、チェンバーはパッチ11.02でトレードマークの範囲制限が撤廃され、センチネルとしての側面が強調されました。
しかし、センチネルはピック率で見てもまだまだキルジョイ、サイファーが主力の現在、Velocity Gamingは何を目的にチェンバーを採用したのでしょうか。
ネオンは強力なアビリティを持ちますが、ジェットやヨルのように、「ヒット・アンド・アウェイ」の戦法を取ることが難しいエージェントです。加えてブリーチ入りの構成は、上述の通りアビリティのコンボは強力なものの、主流の構成と比較して序盤の情報戦において不利になる傾向があります。
そのため、撃ち合いによって相手にプレッシャーをかけつつ、トレードマークでもう1つのルートを抑える、という攻撃的なプレイができるチェンバーが採用されているのだと推測できます。

Velocity Gamingは、チェンバーがアグレッシブなポジションで敵を牽制する一方で、ネオンやブリーチ、オーメンといった他のメンバーが流動的に動く、という戦術を良く取っています。
一方、チェンバーを採用した代償として、逆プッシュの選択が取りにくい、という側面もあります。例えば、トレードマークをサイトの外に設置している状況でサイトにラッシュを仕掛けられた場合、チェンバーのみでは相手を遅延させる有効な手段がほとんどありません。
Nongshim RedForceはそこを上手く突き、ネオンを移動させないようにプレッシャーを与えつつ、チェンバーの居る方を一気に攻め上げるという攻め方を多用しました。
ブリーチ、ネオン、チェンバーを採用した構成は、強力なアビリティでエリアファイトを優位に進めつつ、互いの弱点を補い合う 、バランスのいい構成だとわかりました。
ただしこの構成は、重要な局面での撃ち合いで確実に相手に勝つことができてこそ成り立ちます。自信に満ち溢れる実力者が集い、強気さが目立つVelocity Gamingにぴったりの構成だと言えるかもしれません。
そんなVelocity Gamingですが、10月24日の18:00より、Nongshim RedForceとの対戦が予定されています。
敗北のかかった一戦、再びNongshim RedForceと対戦するVelocity Gamingがリベンジを果たすことはできるのか、注目が集まります。
黒瀬
猫となかよく