neth選手引退を発表 — 「やりきった感じがする、あとは若い子たちに夢をつかんでほしい」

12月8日、元FENNEL所属のeスポーツ選手、「neth」が選手生活を引退することを発表しました。また、レンタル移籍契約が終了し、FENNEL(以下FL)からCrazy Raccoon(以下CR)へ移籍することも同時に発表されています。

FLとCRの公式Xから、引退に関する本人のコメント動画が投稿されています。その動画では、引退の理由についてこのように語っています。

良くも悪くも自分の成長がとまっちゃって、このVALORANTの競技シーンでは、あまり伸びないかなと思って、でも個人的にはやり切った感じがして、今後は若い選手がいっぱい出てくると思うので、その子たちに夢を掴んでほしいなと思い、今回引退を決めました。

VALORANTへ

nethは、Counter Strike Online (CSO)、及びCounter Strike Global Offensive(CSGO)からeスポーツ選手としてのキャリアをスタートさせると、VALORANTリリースと同時に、当時同チーム(BlackBird Ignis)であったoitaNやpoemらと共に、その競技シーンへ移行しました。

また、CSGO時代からライバル関係にあったAbsolute JUPITER(以下JUP)も、ほとんど同時にVALORANTへと移行していました。

しかし、その頃はなかなか勝てておらず、高い壁として立ちはだかっていました。

Crazy Raccoon

そして2020年9月、BlackBird IgnisからCRへと移籍します。

2020年、First Strike JapanやUTAGE VALORANTなどの大会に出場すると、2021年からは公式大会、VALORANT Champions Tourが始まりました。

neth / zepher / Medusa / Munchkin / rionというロスターで、Challengers Stage 1に参戦します。
そこを勝ち抜け、記念すべき一回目のMastersへと参戦します。
ただ、当時コロナ禍により国際大会の開催ができなかったため、このMastersはあくまで日本国内大会です。

その決勝にて、長年ライバル関係を築いていたJUP (Laz / crow / Reita / takej / barce)と激突。
これを3-0で制し、VALORANT初代日本王者の座を手にします。
この瞬間は、CRの動画にて、印象に残っている思い出として本人の口から語られています。

それから日がたたないうちに、Stage 2が開幕します。

ここでもやはりCRとJUPが強さを見せますが、それと同時にMeiyやSugarZ3roが当時所属していたNORTHEPTIONも、頭角を現し始めました。

しかし、決勝に上がってきたのはCRとJUP。
この試合に勝てば、一回目の国際大会、Masters Reykjavikへのチケットが手に入るという、日本VALORANT史に残る試合でした。

初めの2MAPはCRが圧倒し、危なげなく取得すると、続くバインドでは拮抗し、12-14でJUPが取得します。

4MAP目はヘイヴン、JUPが12-10で王手をかけますが、2ラウンド連続でCRが取得し、OTへ。
13-13の局面でCRはC攻めを通すと、そのまま15-13で決め切り、neth、CRは国内大会2連覇、国際大会への切符を手にします。
このOTで見せた、ZepherのCブリンクエントリーはあまりにも有名です。

こうしてMasters へ出場しますが、世界の壁は高く、Version1、X10 Esports相手に1MAPもとれず敗退します。

そして約1ヶ月後にStage 3が始まります。
CRはロスターを大幅に刷新し(neth / Minty / Munchkin / Fisker / Medusa / Bazzi / ade)大会に挑みました。

そしてこの大会でも決勝ではCR vs ZETAとなるのです。
白熱した試合展開を見せますが、結果は3-2でZETAの勝利。
しかし、続く国際大会、Masters Berilinでは、日本に2枠与えられたため、CRも参加権を手にします。

その大会で、彼らはまた歴史を作りました。

まずは初戦、nAtsやChronicleが当時所属していたGambit Esportsに手も足も出ず敗北します。
ZETAも初戦を落とし、やはり世界の壁は高いのかと日本ファンが思う間もなく、CRはブラジルのHavan Libertyとの対決となります。

しかし、この戦いにてついに、日本チームは大金星を挙げました。
日本チームが世界のチームに初めて勝った日となったのです。

そして次戦はまたもGambit Esports、初戦はなすすべなく倒されてしまいましたが、この戦いではあと一歩のところまで迫り、日本に希望をもたらしました。

当時nethはセンチネルやコントローラーなど多くのエージェントを使っていましたが、特にレイズはnethの代名詞となっており、ブラストパックを使ったテクニカルで上手い戦い方は、競技シーンファンを虜にしていました。

このころから、日本のVALORANT競技シーン視聴者数が増え始めました。

ZETA、大会を盛り上げてくれたキャスター、ウォッチパーティーしていた配信者などさまざまな要因がありますが、CR、そしてnethの活躍も要因の一つであったことを忘れてはいけません。

その後もnethはCRの選手として活躍し続けました。
2022年、2023年とロスターは変わっていきましたが、nethはその頼れるリーダーとしてチームを引っ張り続け、Meiy、Astell、popogachiなど、数多くの選手を率いてきました。

DetonatioN FocusMe

2024年、CRはリーグチームのDetonatioN FocusMe(以下DFM)と業務提携を結び、nethはTier1デビューを果たします。

しかし、結成直後のオフシーズンイベント、Riot Games ONE、そして2024 Kickoffとかなり厳しい戦いを強いられます。

そして迎えたStage 1初戦、T1との対決は、ファンにとってとても印象に残る試合になりました。

当時T1はSayaplayerやiZuなどの強力な選手を擁していました。
厳しい試合になると思われましたが、1MAP目をDFMがオフメタ構成で取り切ります。

2MAP目は落としてしまいますが、3MAP目のサンセットを13-11で勝利。
nethはDFMの一員として、初のTier1という舞台での勝利を上げました。

最終MAPのnethのスタッツは23キル15デス、日本屈指のセンチネルプレイヤーとして、再びその強さを見せつけました。

FENNEL

2025年、nethはDFMから新生FLへと移籍しました。

Aace / Hals / GON / MrTenzouEzという全く新しいメンバーと共に、再び国内で活躍しました。

FENNELはSplit2、3共に2位、惜しくも優勝には届きませんでしたが、nethはそこでセンチネルとして大きな活躍を見せました。

そしてRed Bull Home Ground日本予選、前述のFLロスター最後となる大会にて、FLは圧倒的な強さを見せつけ見事優勝。

この時の優勝インタビューのAaceの言葉で、「泣いちゃったもん、Aaceがいいこと言いすぎて」と語っており、nethにとってこのFLが、本当に最高のチームであったことが伺えます。

他にもこのFLについて、「人間関係の大切さを学んだ」「チームでやっててよかった」と語っています。

前述の大会が、結果的に引退試合となってしまいましたが、nethはAaceやHalsなど、次世代の選手たちに多くのものを残し、競技シーンを盛り上げてくれました。

nethはVALORANTで約5年、CSGO等と合わせると、およそ10年の選手生活にピリオドを打ちました。

VALORANT競技シーン黎明期から活躍し、次々と新しいプレイヤーが入ってからも、その強さを見せつけ、引っ張ってきたことは疑いようもありません。

そんなnethの引退は、筆者自身、いちファンとしてとても寂しいものがあります。

neth選手、長い間本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

waddle

プレイ歴1年、競技シーン視聴歴5年のファン。好きなチームはGambit。

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