FNATICのロータス、一体いつから同じ構成なの?

現在開催中のVALORANT Champions Paris、そのプレイオフ1戦目にて、FNATICはDRXに対して2-1で勝利しました。3MAP目のロータスは13-5、それを見て、こう思ったコアな競技シーンファンもいるのではないでしょうか?
「FNATICのロータス、2025年ずっと同じ構成使ってない?」
しかし、それは大きな間違いです。なんとこのチーム、
2024年からずっっっっと同じ構成です。

メタも変わりました。なんならメンバーも変わりました。しかし、構成は約2年間変わっていないのです。レイズ、フェイド、オーメン、ヴァイパー、キルジョイの5人なのです。本記事では、そんなFNATICロータスの歴史を、時系列順で紹介していきます。
その歴史は、なんと2024年の初頭までさかのぼります。この大会でのパッチは8.02、スカイのガイディングライトが再チャージ不可になった直後の環境です。当時のメンバーは、Derke、Leo、Boaster、Chronicle、Alfajer、誰もが認める最強ロースターでした。しかし、FNATICはグループステージでTeam Vitalityに勝利したものの、プレイオフでKarmine Corpに敗北、Masters Madridへの出場権を逃しています。両試合でロータスをピックしており、1勝1敗という成績でした。FNATICが採用していたレイズ、フェイド、オーメン、ヴァイパー、キルジョイという構成は、まさにメタ構成でした。Masters Madridにて優勝したSentinelsや、準優勝のGen.Gも同じ構成です。フェイドの代わりにスカイを出すチームもある程度で、レイズ、オーメン、ヴァイパー、キルジョイはおよそ8割のチームが採用していたのです。
ロースター
Derke
Leo
Boaster
Chronicle
Alfajer
続くVCT EMEA Stage1、適用パッチは8.05~8.07、この間にクローヴが登場しました。しかし前述のメタ構成は変わっていません。FNATICはこの大会にて見事優勝を果たし、Masters Shanghaiのシード権を獲得しています。ロータスは計6回プレイしており、3勝3敗という結果に終わっています。その後プレイオフから臨んだMasters Shanghaiでは、Gen.G、FUT Esportsに敗北しわずか2試合で敗退、どちらの試合でもロータスをピックしており、Gen.Gには勝ちましたが、FUT Esportsには敗北しています。これにより、2024年のこの時点までで、FNATICはロータスで5勝5敗、決して得意マップとは言えない状況でした。なお、この大会直前にヴァイパーのポイズンクラウドが再回収不可、スネークバイトのチャージが1つに減少するという弱体化がありましたが、ロータスのメタは変わりませんでした。しかしこの後、”あるエージェント”の強化により、メタが大きく変わっていくのです。
ロースター
Derke
Leo
Boaster
Chronicle
Alfajer
VCT EMEA Stage2 2024、適用パッチは8.10~9.0、そう、ネオン時代の到来です。パッチ8.11にて、ダッシュ最高速度が上昇し、スライディング時の射撃精度の誤差が撤廃され、装備時間も短縮されました。これによりさまざまなチームがロータスでレイズに代わってネオンを採用していきます。その影響で、ブリーチや、ネオンのアンチピックとしてサイファーの使用率も増加し、対してヴァイパーの使用率が減少。EMEAでは、FNATICと全く同じ構成のチームは消滅しました(下記写真参照)。他地域でもEMEAほどではないものの、同様の傾向が見られました。それでも、FNATICは例の構成を使い続けます。そして驚くべきことに、なんとロータスは6戦全勝という成績を残し、優勝を果たしました。ここで面白いことに、Pacific 2024 Stage2を優勝したGen.Gも、ロータスで全く同じ構成を使っており、4戦3勝。Americas準優勝のG2も、まったく同じ構成で5戦3勝を収めています。そのおかげか、ロータスのメタは回っていき、Champions Seoulを迎えます。
ロースター
Derke
hiro
Boaster
Chronicle
Alfajer
2024年の王者を決める大会、Champions Seoul。適用パッチは9.02、直前の9.01にて、さらにネオンが少し強化され、レイズが少し弱体化しました。これに伴って、さらにロータスのネオン採用が増えていき・・・ませんでした。なんと、16チーム中FNATICも含め7チームがレイズ、フェイド、オーメン、ヴァイパー、キルジョイという全く同じ構成を採用。さらに、11チームがネオンではなくレイズを選択しています。Minibooですらレイズです。その中でFNATICはロータスを2勝3敗、うち1勝と2敗は同じ構成でのミラーマッチによる結果でした。一方で、この大会を制したのはEDward Gaming。彼らは「ネオン、フェイド、ブリーチ、オーメン、クローヴ」という特殊な構成を使い、ロータスで5戦全勝という圧倒的な強さを見せつけました。
ロースター
Derke
hiro
Boaster
Chornicle
Alfajer
2025年のChampions tourが開幕すると、新たに登場した2人のエージェントがメタに大きな影響を及ぼします。テホ、それにヴァイスです。ステージ問わず両者の採用が増え、それとシナジーのあるブリーチやヨルの使用率が上昇しました。それでもFNATICは同じ構成を使い続けました・・・と言いたいところなのですが、Kickoffにおいて彼らはロータスをプレイすることなく敗退し、その後のMasters Bangkokへの出場権も逃しています。当時のロータスでは、上記エージェントの採用が増え、キルジョイやネオンの使用率はかなり低下しました。下記写真のように、構成はどんどん多様化していきます。

ロースター
kaajak
crashies
Boaster
Chronicle
Alfajer
以降変更なし
テホ全盛期の到来です。適用パッチは10.05~10.08、ありとあらゆるチームがありとあらゆるステージでテホを採用。空にはミサイルが飛び交い、大地はアルマゲドンが踏み鳴らす。世はまさに大スキル時代。その全ステージ平均の使用率は、EMEAでは51%でオーメンに次いで2番目、その他の地域では6割を超え、1位を記録します。ロータスも例に漏れず、EMEAでは53%、Pacificでは48%、China79%、Americasに至っては83%を記録します。そんな中、FNATICはテホもヨルも採用せず、同じ構成のままで5戦4勝、他マップでも圧倒的な強さを発揮し、EMEAを蹂躙、リーグ戦では4勝1敗、プレイオフではわずか1MAPしか落とさずに優勝を飾りました。ロータスで当時FNATICと同じ構成を使ったチームは、全リージョンでKOI(1試合のみ、他2戦は違う構成)、DRX(6戦中2戦)、のみです。キルジョイなんていません。正直旧時代の構成です。そして、VALORANTにおいて同じ構成を使い続けるという行為が、どれほど対策されやすく、リスクを伴う行為であることは知っての通りです。それでもなお勝ち続けていたFNATICのロータスは、かなり異常といってもいいでしょう。ちなみに、当時テホやヨルを使用できるプレーヤーがチームにいなかったわけではありません。フラクチャーやアセント、アイスボックスではcrashiesがテホを使用しており、kaajakは今やヨルの名手です。その後、暴れすぎたテホはその後のパッチ10.09にて大幅に弱体化、ついでにブリーチも弱体化、大テホ時代は終わりを告げます。G2以外。
Masters Toronto、適用パッチは10.10。テホはどこかにいってしまいましたが、ロータスでは依然としてキルジョイではなくヴァイスの採用が目立ちました。FNATICと同じ構成のチームは、11チーム中3チーム。FNATIC自身のロータスの戦績は2勝2敗と五分に終わりましたが、他ステージで強さを発揮し、最終的に見事準優勝という結果を残しました。
続くStage2、適用パッチは11.00、ウェイレイやデッドロックを採用するチームも現れ、いよいよ構成が多様化していきます。ロータスのメタに関していえば、オーメン、ヴァイパー、フェイド、レイズまでは多くのチームが採用しており、あと1枠はヨルだったり、ヴァイスだったり、サイファーだったり・・・、といった具合です。
あれ?キルジョイは?EMEAにおいてロータスでキルジョイ採用のチームはFNATICのみ、PacificではGen.G含む3チームが採用しており少し多いのですが、Chinaでは2チーム、Americasでは1チームしかいません。さらには、リーグ期間中一貫してキルジョイを採用し続けたチームはFNATICとGen.G、BOOM Esportsだけでした。このデータが示しているように、「ロータスでキルジョイはもうきつい、もっといい構成がある」と多くのチームが考えていたのではないでしょうか。実際、Stage2でのFNATICのロータスの成績は1勝2敗と負け越しています。約2年間使ってきたこの構成の、賞味期限が切れたように思えました。
そして2025年の集大成、Champions Paris。本記事執筆時点(2025年9月30日)で開催中です。FNATICはグループステージを見事2勝で突破。しかしその間ロータスは出ていません。そしてプレイオフ1回戦目、対戦相手はDRX。3MAP目のロータスに突入し、さすがに構成を変えてくるのではないかと思っていました。が、そんな考えを見事に裏切り、今までと全く同じ構成で13-5の完勝。AlfajerのACSは326、レーティング1.76・・・。続く2戦目、相手はPaper Rex、Masters Toronto以降のロータスの戦績は10勝2敗、さらにはAlfajer病欠で急遽代役のDomaが出場、なんて懐かしい名前なんだ、でもこれは無理だ・・・。前半3-9折り返し、まあしょうがないか・・・、と思っていたら、その後攻撃側でまさかの10本連取、スコアは13-9。衝撃的な逆転劇を演じました。この大会において、キルジョイ採用のチームは現時点でいません。配信のコメントで見た言葉を借りるならば、「化石構成」です。どうしてここまで使い続け、普通に勝てるのでしょうか?


そんなこんなでFNATICは、レイズ、フェイド、オーメン、ヴァイパー、キルジョイというロータスの構成を、2年間使い続けています。ただの一度も他のエージェントに浮気していません。
ちなみに、ロータスの実装は2023年1月、では、2023年はどんな構成だったのでしょうか。

オーメンではなくアストラ採用、これはVCT LOCK//IN Sao PauloからChampions Los Angelsまで一切変わっていません。
つまり、FNATICはロータスにおいて、実装から3年間、なんとわずか2種類の構成しか使っていません。しかもBoasterの使用エージェントが変わっただけで、Chornicleは3年間ヴァイパー、Alfajerは3年間キルジョイを使用。レイズとフェイドは逆に選手の方が変わっている、という驚きの結果になりました。
そんなFNATICは現在開催中のChampions Parisを勝ち進んでおり、次戦は2025年10月3日の20時から、NRGとの対戦を予定しています。勝てばGrandFinalに駒を進められる重要な一戦、果たしてどちらが勝つのか、ロータスは出るのか、楽しみで仕方がありません。そして、2026年のFNATICのロータスの構成はどうなるのか、今から少しだけ楽しみです。
waddle
プレイ歴1年、競技シーン視聴歴5年のファン。好きなチームはGambit。